INOHANA-SAI 亥鼻祭

日程 2008.11.1(土)〜2(日)10:00〜16:00

会場 千葉大学看護学部看護学部棟

人体という小宇宙を観測しよう!

 
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人体の不思議展 企画責任者インタビュー


2008/10/17収録
話し手:ニプさん(M4) 聞き手:つばさ(M1) 協力:こじ(M3)


 本物の「人体の不思議展」が東京国際フォーラムで人体の輪切りを展示して世間を驚かしているとき、亥鼻にしか出来ない方法で社会に発信できることはないか考えたが医学生、看護学生がいた。 7人から始まったこの企画は好評を博し、今や亥鼻祭の看板企画と言うべき存在である。 その責任者であるニプさんに、2008年度『人体の不思議展』の見所について聞いてみた。

 なお本文の最後の方には、ニプさんの亥鼻祭への思いがQ&A形式でまとめられています。



「今年の『人体の不思議展』の全体テーマは臓器です。人体が一つ一つの器官から構成された一つの小宇宙であると感じて欲しい。そして解剖と生理の知識に裏付けられた人体の不思議を感じて欲しい。」


人体の不思議展のメンバーは50人近い。医学部生、看護学部生、さらには薬学の大学院生、みんな企画の趣旨に賛同して自分から集まった人たちである。


「人体の不思議展は心臓、肝臓、感覚器、脳神経、血液、手、骨格、臓器の8つのブースに分かれています。来場者の方にはまず、臓器展で豚の内臓を触ってもらいます。豚の胃は本当に人間にそっくりです。」


来場者は入口で手袋をもらい、展示されている豚の心臓や肝臓といった臓器に触れることができるのだ。来場者はまず臓器を実際に見て、触れてもらい興味を持ってから、各器官のコーナーを回る。



リアルタイムで拍動する心臓



「心臓のブースではリアルタイムで拍動する心臓を見てもらいます。実際に被験者の学生の胸に心エコーを当てて心臓の内部の弁の動きまで見ることができます。」


企画に参加している学生に被験者になってもらい、心エコーによるリアルタイムの心臓動画、心電図をスクリーンに映写する。さらには聴診器による音も含めて3つのルートから、心臓が血液を体内に送りだしている様子を感じてもらうのだという。


「心電図のグラフの山や谷には一つ一つ意味があります。実際の心臓の鼓動と一緒に心電図を見比べてもらうことで、普段馴染みのない心電図の意味を理解して貰えると思います。心臓が動いているのは簡単なことのように思うかも知れませんが、本当は信じられないぐらい素晴らしい事なんですよ。」


会場では医学生のスタッフが心電図や心エコーについて来場者に説明を行う。同時に心筋梗塞、心房細動といった代表的な心疾病についても展示するそうである。(なお、来場者自身のの心エコー、及び心電図については、プライバシーなどの問題から実施しません。)



"自分の肝臓の写真は持ち帰ることができます"



「肝エコーでは来場者の肝臓を撮影します。この写真を見て自分の肝臓に興味を持ってもらい、例えば自分の肝臓が脂肪肝ではないかなどと考えるきっかけにしてもらいたい。」


撮影した自分の肝臓の写真は持ち帰ることが出来るそうだ。


「病院で行う実際のエコーの検査で、胆石が見えることがあります。胆石は肝臓が排出する胆液が固まったものです。胆管中の胆石を取り出す治療法として腹腔鏡が選択されることがあります。会場では実際に腹腔鏡と豚の肝臓を用いて手術の実演を行います。実際に胆石が入っているわけでは無いのですが、術式、つまりどのように手術をやっていくかをじっくりお見せします。」



腹腔鏡の手術が誰でも実体験できる



腹腔鏡とは内視鏡の一種で、腹腔内の観察や手術に用いられる。しかし、内視鏡といっても「胃カメラ」などとは異なり、口や鼻から体内に入れるのではなく、腹部を切開して腹腔内に挿入するものである。手術の際には、腹腔鏡のほかにも別の小さな穴から鉗子類を入れて縫合や切除などを行う。この手術の実演は当初は医師によって行われる予定だったが、都合により、手術自体も学生が医師に技術を学んで行うことになったそうだ。ところで人体の不思議展には腹腔鏡の手術が誰でも実体験できるコーナーが設置されるという。


「最近テレビなどで紹介されるため、腹腔鏡について興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。腹腔鏡手術を来場者の皆様に体験してもらうために、実際に医師がトレーニングに用いている腹腔鏡の装置を借りてきました。この装置を使ってモニターを見ながら箱の中に入っている糸を結んだりして、手術を模擬体験することが出来ます。(写真)」


このほか肝臓のブースでは、健康診断で見かける肝臓の検査値γ-GTP、ALT、ASTの意味についても展示を行うそうである。



テープレコーダーに録音した自分の声が普段と違うのはなぜ?



「次は感覚器のコーナーですが、目と耳に分かれています。目では「トリックアート」を扱おうと思います。不可能な図形を作成して持って帰ってもらうことを企画しています。耳のコーナーでは『骨伝導』について扱おうと思います。」


骨伝導とは音の振動が、耳管を介さずに、頭蓋骨から鼓膜に直接伝わることである。例えばテープレコーダーに録音した自分の声が普段と違って聞こえるのには、骨伝導が関係している。普段聞く自分の声は、空気の振動を通して耳から鼓膜を振動させる気導音と、直接頭蓋骨を通して鼓膜に伝わる骨導音が混合している。テープレコーダに録音した自分の声はこのうち、気導音しか聞こえないため、普段聞いている自分の声とは違う音に聞こえるのだそうだ。


「骨伝導のスピーカーは、例えばドクターヘリで使われています。これはヘリコプターの騒音の中でもちゃんと声が伝わるからです。来場者にはヘッドホンを装着して雑音が入っている環境の中で骨伝導のスピーカーを装着してもらい、音がちゃんと聞こえることを体感してもらいます。」


骨伝導の携帯電話が話題になったこともあった。なお、頭蓋骨の振動から伝わると言っても、音は耳から聞こえてくるように感じるという。



左脳が理論家なら、右脳は芸術家?



「脳神経のコーナーでは「脳の機能局在」を知ってもらいたいと思います。脳には記憶をする場所、言葉をつかさどる場所、視覚、触覚、嗅覚を司る場所がそれぞれあって、さらにそれを全部まとめる場所があります。さらに体を動かす場所、運動の微調整をする場所があります。そういう機能が全部分かれていて、脳の一部分が壊れるとそこに対応した小が出るようになっています。例えば手を動かす場所に障害があると、手が動かせなくなります。決して手を動かす場所が壊れたからといって足を動かす場所が動かなくなることはありません。」


「また、右脳と左脳についても、やっていることが違うんです。右脳型の人間か、左脳型の人間かわかるような簡単な動画があるのですが、それを見てもらうことで、自分が右脳型か左脳型か興味をもってもらい左右の機能の違いについて知ってもらおうと思います。」


左脳が理論家肌で、右脳は芸術家肌という話をよく聞くが、それは当たっているのだろうか。


「おおまかには左脳が理論や言語をつかさどり、右脳が空間や音楽をつかさどると言われています。しかし、この分野は現在でも研究が進められている分野です。だから正しいか正しくないかは別として、このような研究が現在なされているということを紹介する形になると思います。」


次は毎年好評の血管年齢測定をやる「血液」のコーナーである。


「血管年齢が高いというのはどういう事かというと、血管壁の厚さは普通の人は薄いのですが、これがいろいろなものが詰まって動脈硬化すると太くなる。この血管壁の厚さを測定します。だいたい1回18秒ぐらいで測定することが出来ます。」


「今年はさらに血管の中を流れる血液にも焦点を当てていこうと思います。特に献血において、生体から採取された血液が実際にどのようにして患者さんの体内に入っていくかを示してみたい。」


手のコーナーでは、指を動かす筋肉の模型を実際に作成して展示することを計画しているという。


「指を動かすのは簡単に見えるけれども、実はもの凄く複雑な仕組みになっています。指を曲げる筋肉は、実は指の中ではなく前腕の中に入っています。指を曲げる方向に働く屈筋、伸ばす方向に働く伸筋、それぞれ何種類も腕の中に入って指につながっている。だから模型の筋肉を曲げると、この指が曲がる、ということがわかる。そんな来場者が「これは」と思えるものを作れたらよいですね。」


「そのほか爪、指紋を扱いたいと思います。内臓は体内にあるから直接目で見ることは出来ないけれども、手は毎日使っているし、目で見てわかっています。手のツボ、触覚、そして模型を展示します。」



"解剖学教室から本物の骨を借りました"



骨格のコーナでは本物の人体の骨を展示する。


「解剖学教室から実習用に用いられている本物の骨を借りました。これも来場者の方が実際に手で直接触れることが出来ます。骨の軽さと頑丈さに驚かれると思います。」


「また、毎年好評の骨密度測定を行います。骨には作られる働きと、壊される働きが有ります。このバランスが崩れると、骨がスカスカになって軽石のようになります。骨密度の低下は女性ホルモンなどが関係している場合もあるんですよ。」


骨密度の測定は踵に超音波を当てて測定する。2分ぐらいで測定されるそうだ。この骨密度、肝エコー、血管年齢は毎年人気でファストパスを使っているそうである。さらに骨密度に関する説明も行われている。


最後に人体の不思議展に来場される方へのメッセージをもらった。


「体験型の企画を通して、見る聞く触る、楽しい、驚くなどの感情を刺激して人体の不思議を自分のものとして実感してもらうのが一番いいかなと思います。例えば肝エコーで自分の肝臓の写真を見たり、自分の血管年齢を計ったりして、自分でなにかしら感じたものが、実際にはどういうものなのか、そこから人体の神秘を感じてもらいたいと思います。」



"人体の不思議展を毎年続けていける理由は、一緒に作る人たちが本当に素晴らしい人たちだから"


Q今では亥鼻祭を代表する企画になった人体の不思議展は、どのような経緯で始まったのでしょうか?


「一年目に発足した当初、世間では国際フォーラムで本当の人体の不思議展が話題になっていました。それに近いことを亥鼻祭でもやりたい、と思ったのがきっかけです。けれども、『人体の不思議展』を本当にやろうと思ったら人体標本を手にしなければならない。そんなことは当然無理だろう。そう思っていたときに、大阪大学の医学部中之島祭で豚の臓器を展示しているという話が耳に入りました。それだったら僕たちでもできると思った。けれどもそれだけだと独自性が無いから、亥鼻でしかできないことをやろうということで、解剖から臓器や器官にまず関心を持ってもらって、さらに生理と解剖に裏付けられた展示を行おうと思いました。」


「企画が始まった第一回目のミーティングは7人でした。もちろん7人だけでやろうという気はもともと無くて、それからたくさんの人を誘って増やしたんだけれども。」


Qどうして亥鼻祭のスタッフをやろうと思ったのですか?


「それは正直かわいい女の子が入っていたからですよ。いや、違うよ、嘘だよ。本当は単純に料理するのが好きだったから、それで健康食レストランに入った。それから後夜祭もやりましたね。2年目は初代の人体の不思議展の人柄が好きでそれにつられて入った。そういう企画をやりたいなとはずっと思っていたので、ちょうどそういうのが立ち上がったから、ああ、これはと思って乗っかってみた。」


Q人体の不思議展は今年で3年目を迎えます。そのなかで今年はどんな新しいことをやろうと思いますか?


「実は人体の不思議展は似たようなことを毎年やっているんです。脳神経だって今年始まったもののように見えるけれども去年は恋愛生理学で脳から出るホルモンの話をしていたわけで、感覚器も2年前には目もやっていた。だから見方は違うけれども、やっていることは同じ…大きなくぎりではいっしょなんです。人体の中にあるものだから。」

「ところがその見せ方は毎年新しいことをやっている。だからそういう意味では、人体の不思議展は毎年新しい企画になっています。今年のイチオシは、骨格のところでやる姿勢のコーナです。これは今年初めての企画です。例えば腰痛は国民の愁訴で一番多い。腰痛を持っている人はたくさんいるから、そういう人たちが見て納得するような企画が出来ればいいと思っています。」

「心電図について扱うのも今年が初めてですね。心電図をとる機会は多くなったのですが、血圧測定などに比べればまだまだ身近ではないと思います。それが実際の心臓の動きと一緒に見比べて、わかってもらいたいと思いますね。心臓の鼓動、心音から、血液の流れを鮮明にイメージして欲しいですね。」


Q人体の不思議展のどこが好きですか?


「人体の不思議展は亥鼻祭で一番人が来る企画です。だから亥鼻祭に来る人が求めていることをやっている、とは思います。スタッフとして一番楽しめることは、いろいろな人と話すことができることです。自分自身も当日はいろいろな人と話をして来ましたし、そうしたことはやっぱり楽しい。そして、こういった医療系のキャンパスから社会に向けて発信していくような活動は学生の間しかできない貴重な体験だと思います。」

「人体の不思議展を毎年続けていける理由は、一緒に作る人たちが本当に素晴らしい人たちだから…毎年やっていて、楽しい、と思う。亥鼻キャンパスにはいろんなひとがいるなと本当に感じる。亥鼻で普通に生活している人は、部活のコミュニティーしか持っていない人が多いと思うんだよね。けれども、それだけではやっぱりもったいないと思っている。亥鼻祭は、いろんな学年でいろんな部活をやっていていろんな背景を持つ人がいて、そういう人たちと一緒に一つのものを創り上げるていく。楽しいよね。だからもう、イノサイをやめられない。…中毒ですからね。毎年やめようと思うんだけれどね。打ち上げの日には絶対にやめようと思うんだけれど、気づくと何かやっている、何かやらずにはいられない。そう思う人が少しでも多くなってくれるといいと思います。」


Q最後に今年責任者になって感じていることはなんですか


「うーん、いや、あと2週間しか無いんだなということかな(笑)」


Qありがとうございました。


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